食欲が落ちてしまいがちな暑い季節。できれば簡単な調理で上手に食事を取りたいものです。管理栄養士の大部正代さんは「腸内環境を整える野菜や発酵メニューを積極的に食べて、健康維持を心がけたいですね。爽やかな水キムチはぴったり」と話します。7月5日に開かれた「超(腸)脳活料理講座」(FOOD&HEALTH協会ククルテ主催)からレシピとともに紹介します。
腸内環境を整えて体力アップを
講座とレシピ

講師/大部 正代(おおべまさよ)さん
FOOD&HEALTH協会ククルテ代表理事、管理栄養士。福岡県栄養士会会長、日本病態栄養学会理事、福岡県糖尿病療養指導士会会長。浜の町病院、中村学園大学栄養科学部教授を経てククルテを設立

夏の暑さに負けない体力維持のヒントについて「腸内環境を整え、水分を多く含む野菜や発酵メニューを積極的に食べましょう」と大部正代さん。腸内に生息する数多くの細菌の中で、健康維持に貢献する菌を善玉菌と呼び、腸内環境を良好に整えるためにも善玉菌を増やすのがよいとされます。
「乳酸菌やオリゴ糖、食物繊維を多く含む食べ物は善玉菌を増やします。効率よく食べて夏バテ予防に役立てたいですね。しかも腸と脳は自律神経、内分泌系、免疫系の経路で互いに影響を及ぼし合っているという研究結果があります。腸活=脳活と言えるんですよ」
乳酸菌たっぷりの水キムチを推薦

中でも夏に推薦したいメニューの一つに、水キムチを挙げます。「韓国では赤いキムチと同じくらい日常的に食べられています。発酵食品の中でも乳酸菌が桁違いに含まれていると話題で、近頃の韓国ブームもあって大変注目されています」。ヨーグルト、ぬか漬け、赤いキムチの数倍〜十数倍の乳酸菌が含まれているというから驚きです。
作り方は簡単で、難しい調理技術も特に必要ありません。「この季節は湿度も室温も高いので発酵がどんどん進みます。1〜2日常温に置いて発酵が確認できたら冷蔵庫で保存を。1週間内で消費しましょう」

ほかにも野菜を気軽に食べられるレシピを挙げ「野菜を切る作業は脳刺激においても効果が高いとされます。形はふぞろいでも構わないので、積極的に包丁を握って」と呼びかけます。
腸にも脳にもうれしい野菜レシピで、夏を乗り切りましょう。
簡単腸活野菜レシピ 4メニュー紹介
■乳酸菌たっぷり「大根と白菜の水キムチ」


【作り方】
(1)水に塩を入れて中火で加熱し、沸騰したら火を止めて粗熱をとる。
(2)大根は厚さ5㎜のいちょう切り、白菜とキャベツは幅3㎝程度の角切り、パプリカは薄くスライスしてチャック付きポリ袋(Lサイズ)に入れる。
(3)完熟トマトとスモモをミキサーにかけるかすりおろし、(1)に入れる。さらに半分に切ったニンニクとすりおろしたショウガを加える。(2)に(3)の液を流し入れ、キュウリをそのまま入れる。常温で1~2日保存して発酵させる。発酵が進んだら冷蔵庫で保存する。
(4) 食べる時にキュウリを切ってお皿へ。
※トマトもスモモも皮ごと使う。秋はナシ、冬はリンゴなどで
■爽やかな口当たり「セロリとキュウリのヨーグルト味噌漬け」


【作り方】
(1)ざるの上にキッチンペーパーを敷き、ヨーグルトをのせておよそ半分の重さ(100g)になるまで水気を切る。
(2)(1)とみそを混ぜ合わせる。
(3)セロリ、キュウリのほか好みの野菜を(2)に1~2晩常温で漬ける。その後は冷蔵庫へ。
■野菜が足りない時に「モヤシとニラのナムル」


【作り方】
(1)ニラを長さ3cm程度に切る。
(2)沸かしたお湯に塩と酢を入れて、モヤシとニラをサッとゆでる。※水っぽくなるので水につけないように。
(3)ゆで上がったらざるに上げて冷ます。粗熱が取れたらゴマを全体に混ぜる。
(4)★の調味料を合わせて(3)に加え、よく混ぜる。
※すりゴマ…洗ったゴマをふきんに包んで水を含ませ、フライパンで煎(い)り、すり鉢でする。
■旬野菜をたくさん食べたい「キュウリのキムチ」


【作り方】
(1)キュウリに塩を振って板ずりし、水でよく洗った後に両端を切り落とし、半分に切る。
(2)(1)の両端を約1cm残して縦に切り込みを2カ所入れる。
(3)(2)を耐熱容器に入れ、沸騰させた塩水を注ぐ。
(4)1時間ほどそのままにして完全に冷めたらざるに上げ、ペーパータオルなどで水気を拭き取る。
(5)ダイコンとニンジンは千切りに、ニラは2、3cmに切ってボウルに入れ、★を加えてあえる。
(6)リンゴは皮をむいてすりおろし、ガーゼで漉(こ)して塩を少々加える。
(7)キュウリの切り込みに(5)を挟み、密閉できる容器に入れ(6)を流し込む。冷蔵庫に保管する。2、3日置くと食べごろに。