「最近、固いものがかみにくい」「お茶でむせることが増えた」。こうした口の小さな変化は、年齢のせいと見過ごされがちです。
口の機能の「ささいな衰え」が重なった状態を、オーラルフレイルと呼びます。2024年には関係する3学会が、5つの質問で確かめられる新しいチェック項目「OF-5」を示しました。
この記事では、OF-5の内容と、毎日の暮らしで取り入れやすい習慣、福岡市で受けられる歯科健診を紹介します。早めに気づくことが、口の健康を保つ第一歩です。
目次
オーラルフレイルとは 口の「ささいな衰え」が重なった状態
オーラルフレイルは、口の機能が健康な状態と、はっきり機能が落ちた状態の「間」にあたります。
日本老年医学会、日本老年歯科医学会、日本サルコペニア・フレイル学会の3学会は、2024年4月に合同ステートメント(共同の見解)を公表しました。国立保健医療科学院の資料によると、ステートメントでは次のように定義しています。
- 歯を失うこと、食べること、話すことなど、さまざまな機能の「軽微な衰え」が重なった状態
- 口の機能が低下する危険性は高まっているが、改善も可能な状態
フレイルは、加齢で心身の活力が弱まった状態を指す言葉です。口の衰えは、食事の量や種類が減るきっかけになりえます。そのため、全身の健康を考えるうえでも、口の変化に目を向けることが大切だとされています。
5つの質問で確かめる「OF-5」
OF-5は、オーラルフレイルかどうかを確かめるための5項目のチェックです。専門の機器を使わず、質問に答えるだけで確認できます。
オーラルフレイルのチェック項目「OF-5」(3学会合同ステートメントをもとに編集部作成)
次の5項目のうち、当てはまるものを数えてみてください。
- 自分の歯が19本以下である(さし歯や金属をかぶせた歯は数え、インプラントは数えない)
- 半年前と比べて、固いものが食べにくくなった
- お茶や汁物でむせることがある
- 口の渇きが気になる
- 普段の会話で、言葉をはっきりと発音できないことがある
2つ以上当てはまる場合は、オーラルフレイルに該当するとされています。
当てはまる項目があっても、すぐに心配する必要はありません。気づいた今が、口の習慣を見直すきっかけです。
なお、厚生労働省の「令和4年歯科疾患実態調査」では、80歳で20本以上の歯がある人(8020達成者)の割合は、推計で51.6%でした。歯の本数は、OF-5の項目の一つでもあります。
毎日の暮らしで取り入れやすい3つの習慣
オーラルフレイルは、改善も可能な状態とされています。ここでは、自治体や歯科医師会の資料で紹介されている習慣を3つ取り上げます。
1. よくかんで食べる
秋田市がまとめたオーラルフレイル予防の資料では、かむ回数を増やす工夫として、次のような例を挙げています。
- 食材を大きめに切る
- 歯ごたえのある食材を使い、加熱しすぎない
- 左右の歯を使ってかむ
- 水分で流し込まず、味わって食べる
ただし、痛みがあるのに無理に固いものをかむのは避けましょう。
2. 舌や口の周りを動かす
同じ資料では、舌の体操を紹介しています。
- 舌を前に出し、下に伸ばす
- 舌を前に出し、上に伸ばす
- 口の中で、舌を右回りに回す
- 口の中で、舌を左回りに回す
できるだけゆっくり、大きく動かすのがポイントです。食事の前や、テレビを見ながらなど、続けやすい時間に取り入れてみてください。
厚生労働省の「通いの場」のサイトでは、日本歯科医師会が作成した「かみかみ体操」「ゴクゴク体操」の資料も公開されています。
3. 歯みがきと、かかりつけ歯科医での定期健診
毎日の歯みがきに加え、定期的な歯科健診も大切に
毎日の歯みがきに加え、かかりつけの歯科医院を持ち、定期的に口の状態を診てもらうことも大切です。自分では気づきにくい歯周病や、入れ歯の合い具合なども確認してもらえます。
福岡市の歯科健診と「いいな、いい歯。」週間
福岡市の市政だより(2026年10月15日号)では、11月7日から13日までの「いいな、いい歯。」週間にあわせて、歯科健診などを案内しています。主な内容は次の通りです。
- 後期高齢者歯科健診:今年度中に76~80歳になる人が対象(長期入院中の人や一部の施設入所者を除く)。料金は300円。今年度の受診期限は12月末です。受診券は5月下旬ごろに送付されています。問い合わせは福岡県後期高齢者医療広域連合(092-651-3111)。
- 歯科節目健診:今年度中に25、30、35、40、50、60、70歳になる人が対象。料金は500円で、70歳は無料です。来年3月末までに1回受けられます。問い合わせは福岡市口腔保健支援センター(092-711-4396)。
- デンタルフェア2026:11月8日(日)午前10時~午後3時、ららぽーと福岡1階メディアパーク(博多区)で開催。参加は無料で、かむ力や飲み込む力などの検査も予定されています。問い合わせは福岡市歯科医師会(092-781-6321)。
福岡市以外にお住まいの方は、お住まいの市区町村の窓口やホームページで、歯科健診の案内を確認してみてください。
家族ができること
離れて暮らす親と食事をするときは、食べる様子にも目を向けてみてください。固いものを避けていないか、むせることがないか、会話が聞き取りにくくなっていないか。こうした変化は、本人より周りが先に気づくこともあります。
気になる変化があれば、OF-5を一緒に確かめてみるのも一つの方法です。歯や入れ歯の痛み、飲み込みにくさが続く場合は、歯科医院や医療機関に相談しましょう。
よくある質問
Q. オーラルフレイルとは、どんな状態ですか?
A. 歯を失うことや、かむ・飲み込む・話すといった口の機能の「ささいな衰え」が重なった状態です。3学会のステートメントでは、口の機能が低下する危険性は高まっているものの、改善も可能な状態とされています。
Q. 自分で確かめる方法はありますか?
A. 5つの質問に答えるOF-5があります。歯の本数、固いものの食べにくさ、むせ、口の渇き、発音のしにくさの5項目のうち、2つ以上当てはまるとオーラルフレイルに該当するとされています。
Q. 入れ歯の人は、歯の本数をどう数えますか?
A. 秋田市の資料では、さし歯や金属をかぶせた歯は自分の歯として数え、インプラントは数えないとしています。入れ歯の扱いなど、詳しくはかかりつけの歯科医に確認してみてください。
まとめ
- オーラルフレイルは、口の機能の「ささいな衰え」が重なった状態で、改善も可能とされている
- OF-5の5項目のうち、2つ以上当てはまると該当する
- よくかむ、舌を動かす、定期的に歯科健診を受ける。毎日の小さな習慣が口の健康を支える
今日の食事のとき、ひと口ごとに少し多めにかんでみませんか。
口と脳の健康の関わりは「脳の元気に欠かせない「口腔ケア」 歯科医インタビュー」で、飲み込みの注意点は「【医学博士インタビュー】「飲み込み」は大丈夫? 肺炎の危険性ある誤嚥(ごえん)に注意を」で紹介しています。健康寿命を延ばすための習慣は「平均寿命と健康寿命の「10年の差」を縮める!50代から始める健康寿命を延ばすためにやるべきこと」もご覧ください。
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参考資料
※この記事の内容は2026年10月時点の情報です。
文:脳活新聞WEB編集部(西日本新聞社)