認知症になっても生き生きと暮らせるまちを目指し、9月15日に福岡市認知症フレンドリーセンターがオープンしました。海外からも視察に訪れるなど注目されています。センター長の党一浩さんが、「フレンドリー」の意味や同センターが担う役割などを語りました。
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活躍、交流、学び・体験、情報発信…「認知症になっても大丈夫」
日本の高齢者はこれからどんどん増え、2025年には約700万人が認知症を有すると予測されています。社会には「認知症になると終わり」といったネガティブなイメージがありますが、高齢者の増加からしても、今後は「なったら終わり」ではなく「なっても大丈夫」という社会、福岡をつくることが肝要です。
当センターの名称に「フレンドリー」という言葉を用いています。その意味を、徘徊(はいかい)を例に挙げてお話しします。
誰かが認知症で徘徊するようになると、ご家族は「危ないので家から出られないようにしよう」とか「施設に入所してもらおう」などと考えます。ですが、徘徊にも理由があります。友人の家にたどり着けない、買い物に行こうとして道に迷った―。そうした状況を徘徊と言っているのです。これは徘徊が問題ではなく、たどり着けないことが問題です。では、社会のインフラも含め、どうすれば認知症の方でも迷わないか。問題を生む原因にまなざしを向け、改善していく。そのように思考をシフトしていくことが「フレンドリー」の考えです。
当センターは「活躍」「交流」「学び・体験」「情報発信」の四つを中心事業としています。
「活躍」とは、認知症の当事者が元気に活躍し続けられる環境の創出。当事者、ご家族、企業などが情報交換できる場をつくるのが「交流」です。「学び・体験」として「ユマニチュード®」講座など認知症ケアの技法の研修を実施し、センター内には認知症の疑似体験ができる最新機材もあります。こうして得た実証例や当事者の声などの情報を、国内外に発信します。
福岡市は当事者と企業がワークショップを重ね、認知症の人にもやさしい製品などを創出する事業を行っています。この場への参画で当事者は元気になり、企業にはニーズを把握できるメリットがあります。認知症の人にもやさしい製品は、誰もが使いやすい製品です。当事者、企業、社会の「三方よし」。まさにフレンドリーです。
こうした製品類をセンター内に展示しています。センター内は照明などにも配慮した「認知症の人にもやさしいデザイン」を採用しており、住宅改修などの参考にもなります。談話室は誰もがくつろげ、関連書籍もそろえています。
「認知症になっても大丈夫」なまちづくりには、産官学民のオール福岡で取り組む必要があります。その歯車をかみ合わせていきながら、下支え、ベースアップを図っていきたいと思っています。そのためにも認知症について老若男女に知っていただきたい。ぜひ一度、当センターにお越しください。
福岡市認知症フレンドリーセンター
住所:福岡市中央区舞鶴2-5-1(あいれふ2階)
電話:092-791-9115
開所時間:10:00~18:00
休:日・月曜、祝日、年末年始