歯を磨いて健康生活、定期的に歯科医へ~人生もスポーツも金メダルは歯の管理から~

NPO法人日本臨床歯周病学会の第41回年次総会が開催された6月24日、福岡市・天神のアクロス福岡で市民公開講座が開かれました。パネルディスカッションに登壇したのは、以前、脳活新聞別刷り特集のインタビューにも登場した同学会理事長の木村英隆さんをはじめ、ブラインドマラソンランナーの道下美里さん、コラムニストのトコさん。歯の健康のほか、心も体も元気で豊かに生きるために何が必要かについて語り合いました。

日本臨床歯周病学会主催「市民公開講座」のパネルディスカッションの様子
目次

健康長寿のために大切な歯のケア

日本臨床歯周病学会理事長 木村 英隆(きむら ひでたか)さん
1964年生まれ。福岡県飯塚市出身。九州大歯学部卒、同大歯学部臨床教授。
2023年日本臨床歯周病学会理事長に就任。福岡市・天神で「医療法人木村歯科」(歯周病専門医)を開業。
専門は歯周病、インプラント治療。

―「金メダルは歯の管理から」が今回のディスカッションのテーマです。

道下美里(以下、道下) 私は、歯の管理をしてきたからこそ、大事な場面で結果を出すことができたと思っています。何事も日頃のケアが重要で、強い選手とはリスクマネジメントをきちんとしている人。歯の管理はリスクマネジメントの一つだと捉えています。

トコ 人生100年時代と言いますが、私にとっての金メダルは100歳を超えて125歳まで元気でいること。寿命と健康寿命が同じになるように、ずっと元気でいて最期の時に「やった!」って自分に金メダルを贈りたいですね。

―そのためにも、歯の管理が大切なのですね。

木村英隆(以下、木村) 歯がしっかりしている人、たとえ入れ歯でもきちんと噛めている人は健康で生き生きとしています。噛(か)まないと唾液も少なくなるので、年配者はガムを噛むといいといわれます。ただ、あまり強く噛み過ぎると歯が割れることがあります。歯磨きも同じで、力任せに磨き過ぎると歯茎を傷つける場合も。やり過ぎには気を付けてほしいですね。

道下 歯ブラシの硬さはどう選べばいいでしょう。電動歯ブラシの効果も気になります。

木村 歯ブラシの毛は、やや軟らかくて、かつコシがあるタイプがいいですね。電動歯ブラシは毛先がきちんと歯に当たっていたらプラークが確実に取れますが、当たっていない所は取れません。歯科衛生士さんに磨き方を習って練習することですね。

歯科医に行って正しいメンテナンスを

ブラインドマラソンランナー 道下美里(みちした みさと)さん
1977年生まれ。山口県下関市出身。2004年盲学校在学中に陸上競技を始め、08年からフルマラソンに挑戦。
17年防府読売マラソンで世界記録を樹立し、その後自ら2度更新。
21年東京パラリンピック競技大会では念願の金メダルを獲得。三井住友海上所属。

―練習は、道下さんの得意分野ですね。

道下 練習で、感覚は鋭くなりますね。体の故障しやすい場所など自分の状態が分かってくる。歯も同じで、ずっと磨いていると、ここは磨き残しが多いとか、自分はこれくらいでいいなどと分かってきます。

トコ 歯科医に定期的に通うことですよね。

道下 仕事人間だった私の父は、歯医者に行かなかったんです。若い頃から虫歯が多く、入れ歯になって話も聞き取りづらく、最後は食べ物も食べられなくなって78歳で亡くなりました。若い時に歯科医に行っていたら、少しは違ったんじゃないかと悔やまれます。

トコ 自分でメンテナンスをできていたら、良かったかもしれないですね。

木村 たとえ70〜80%ほど汚れが付着していても、歯科医で定期的にしっかりメンテナンスしていると汚れは20%以下になりますからね。

道下 フロスや歯間ブラシも使った方がいいのですか。

木村 歯ブラシだけでは完璧に取れないので、デンタルフロスや歯間ブラシなど補助的な器具を併用した方がきれいに磨けます。

歯も歯茎も笑顔も、日々の積み重ねから

コラムニスト、コメンテーター トコさん
1959年生まれ。北九州市出身。コラムニスト、風水実践家、画家。慶応大卒。
福岡のテレビ番組でコメンテーターとして元気を発信。「何歳からでも新しいことができる」と
2022年に画家デビュー。目標は100歳まで健康で楽しく過ごすこと。

木村 話は変わりますが、私たちは歯茎や粘膜も診るので、時々がんを発見します。

トコ 健康診断や人間ドックのつもりで、歯が痛くなくても「歯の掃除をしてください」と言って、診てもらうといいですね。

道下 合宿に入る前に歯の詰め物が取れた時にも、かかりつけの歯医者さんがすぐ対応してくださって助かりました。かかりつけの先生がいるのはすごく大事だなと思います。

トコ 歯磨き粉は、たくさん使った方がいいのですか。

木村 ほんの少し、5㎜程度でいいです。

トコ 歯磨き粉は付け過ぎず、力任せに磨かないのがいいのかな。

木村 逆に全く力が入っておらず、長い時間かけても汚れが取れていない人もいます。その力加減も練習次第。練習すれば、きちんと当てられるようになります。

道下 本当に練習は大切。地味なことを続けなければ強くなれないのと一緒ですね。

トコ 同じ歯ブラシを長く使うのも良くないですよね。毛が開いてヘッドからはみ出し始めたら、取り換えた方がいいですか。

木村 そうですね。大体2、3カ月が交換のタイミングです。

―会場から道下さんに「どうしたら、そんなに素晴らしい笑顔でいられるのか」という質問がありました。

道下 笑顔は意識しています。寝る前に感謝の瞑想(めいそう)をして、その日にあった嫌なことなどをリセットして翌日を迎えるようにしています。合宿などできつくて笑顔になれないこともありますが、伴走者と「ありがとう」のキャッチボールをして、寝る前に感謝の瞑想をする。そういう行動が笑顔につながっているのかなと思います。

トコ モデルやタレントは、笑顔のトレーニングをしているんです。割り箸を口に挟むと、口角が割り箸に当たります。それをきゅっと上げる練習をすると筋肉が鍛えられ、3日もすれば口角が上がって笑顔になります。

道下 筋肉は使わなければどんどん衰えます。地道な筋トレを続けることで鍛えられ、表情も変わる。年齢を重ねたシワの多い笑顔が私の理想です。笑顔の時間を増やすだけですてきな年の取り方ができるのかなと思います。

トコ 小さなトレーニングで顔の筋肉も変えられるし、歯だって歯茎だって強くなれる。

木村 これを機に歯に関心を持ってもらい、自分自身や家族の健康と豊かな生活につなげてくださればと思います。本日はありがとうございました。

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この記事を書いた人

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