【インタビュー】立川志ららの「ふざけのススメ」―その1

いくつになっても、ふざけよう! 脳活新聞は「立川志ららの落語で脳活」(FOOD&HEALTH協会ククルテ共催)を6 月2 日、福岡市・天神のエルガーラホールで開催。落語家・立川志ららさんが自ら考案した「シナプソロジー落語」で約160人の観客を笑顔にさせた。認知機能の低下を予防するためのプログラム「シナプソロジー」のインストラクター資格を持つ志ららさん。本人も想定外のシナプソロジー落語への反響や新たな展開、さらには「ふざけのススメ」を語った。2回に分けてお送りする。(聞き手・構成 富永博嗣)

目次

インストラクターやってみる?

福岡市・天神で開催した 「立川志ららの落語で脳活」

「落語界でシナプソロジーのインストラクターは私だけ。世界でたった一人のシナプソロジー落語家です」。今回の脳活イベントでも、まずは軽妙なあいさつで観客の笑いを取った立川志ららさん。シナプソロジーとの出合いから、すでに10年以上がたつ。全国展開するスポーツクラブ「ルネサンス」がプログラムを独自開発したのが2011年。それを知った好奇心旺盛な志ららさんは、すぐにマスターすべく研修や試験を受け、インストラクターの資格を取得した。

志らら 認知症のラジオ番組を担当している放送作家さんから、ルネサンスさんが開発したばかりのシナプソロジーのインストラクターを募集していて、いろんな業界の人に試験を受けてもらいたがっていると聞いたんです。「まだ落語家はいないんだけど、おまえやってみるか」と。僕は面白そうなことは何でもやりますってタイプなので、すぐに「やります」と答えました。
その時はこんなにがっつりとシナプソロジー落語をやるなんて思っていませんでした。後から理屈を付ければですが、老人ホームとかデイケアサービスとかで落語をやる機会も多いので、認知機能の低下予防というのは非常にリンクしてくるというのが、頭のどこかにあったのかもしれないですけどね。

登場人物にやらせてみようか

「世界でたった一人のシナプソロジー落語家です」

インストラクター資格を取得した当初は〝余興的〟に披露していたが、あるイベントへの出演をきっかけにシナプソロジー落語が生まれる。古典落語の名作「あくび指南」の中にプログラムを組み込んだのだ。演目は「シナプソロジー指南」とした。

志らら シナプソロジーは子どもたちも年配の方も喜んでくださるので自分も面白くて。最初のうちは「ちょっと手遊びしましょうか」みたいな感じでやっていたんですけど、あるときルネサンスさんがシナプソロジーのフェスタみたいなのをやるときに「何か一席やってほしい」と依頼されまして。でも、普通に落語をやるのもなんだし、といってシナプソロジーはもっと熟練の人がいる。それなら落語の噺(はなし)の中で、登場人物にシナプソロジーをさせるっていうのを入れ込んでみようかなと。「あくび指南」は、あくびのやり方を教わる噺なんですけど、そのあくびをシナプソロジーに替えてみたんです。

リピーターが現れて…

大盛り上がりを見せた「シナプソロジー長屋 」

まずは当日のイベントを盛り上げようと、ひねり出した「シナプソロジー指南」。これを自分の売りにしようなどという狙いはなかった。ところが、これが想定外の反響を呼び、同時に反響を得たからこその新たな課題も生まれた。

志らら やり始めたときに何の計算もないし、こんなにやることになるとも思わなかったんですけど、新聞などで取り上げてくださったおかげで。ただ、リピーターとか付いてくると、シナプソロジーのプログラムはいくらでも変えられますけど、噺自体が同じではお客さんも飽きちゃうだろうなと。それで今回は初めての「シナプソロジー長屋」です。初めて聞く人には「シナプソロジー指南」の方が分かりやすいし下げもきれいなんですけど、毎回これだとさすがに何度か見ている方にはね…。

うれしい悲鳴! 新ネタ作らなきゃ

今回の脳活イベントで披露した新ネタ「シナプソロジー長屋」もベースとしたのは古典落語だ。名作「長屋の花見」にプログラムを取り込んだ。脳活新聞のイベントへの出演は今年1月に続いて3度目。新ネタをつくるきかっけは、前回イベントの直後の体験にある。また、福岡に限らず長崎でも新たな展開があるようだ。

志らら 前回はエルガーラホールでやった次の日に福岡商工会議所でもやりました。そしたら「きのう面白かったから、きょうも来た」ってお客さんがいらして。面白かったから2日続けて聞きに来るって、そんなこともあるのかと。うれしい悲鳴です。その日はシナプソロジーのプログラムだけは変えたんですけど、これから福岡でやる場合は違う形にしていかないと、どんどん手を加えていかないとって、ホント、うれしい悲鳴です。先日は長崎の町村長経験者の集いみたいなところでもやりました。そしたら非常に気に入ってくださった方がいらして、その方の村が来年で何周年だかを迎えるそうで、そのイベントでやってくれって。

プロフィル
立川志らら 1973年6月生まれの50歳。神奈川県出身。97年5月、立川志らくに弟子入り。2002年5月、立川談志の孫弟子として初の二つ目に昇進。15年10月、真打ち昇進。脳の活性化を図るシナプソロジーのインストラクター資格(シナプソロジー研究所)を持つ。大正大学地域構想研究所の研究員で、同大学と東京・巣鴨でカフェ「ガモール志學亭」を共同運営。毎月3日間、店内の高座に上がっている。

シナプソロジー
スポーツクラブの全国展開など健康づくり事業に取り組む(株)ルネサンスが昭和大学医学部の藤本司名誉教授(脳神経外科)のアドバイスを受けながらプログラムを独自開発。普段慣れない動きをすることで脳に適度な刺激を与え、認知機能や運動機能の向上を図る。複数人で行うことで、感情や情動の活性化も期待される。 

(その2へ続く)

あわせて読みたい
【インタビュー】立川志ららの「ふざけのススメ」―その2 いくつになっても、ふざけよう! 脳活新聞は「立川志ららの落語で脳活」(FOOD&HEALTH協会ククルテ共催)を6 月2 日、福岡市・天神のエルガーラホールで開催。落語...
よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

脳活、運動、食事、睡眠、社会参加、脳トレなどの普及・啓発活動による健康寿命の延伸・認知症予防の実現を目指す「脳活新聞」

コメント

コメント一覧 (1件)

目次
閉じる