【インタビュー】立川志ららの「ふざけのススメ」―その2

いくつになっても、ふざけよう! 脳活新聞は「立川志ららの落語で脳活」(FOOD&HEALTH協会ククルテ共催)を6 月2 日、福岡市・天神のエルガーラホールで開催。落語家・立川志ららさんが自ら考案した「シナプソロジー落語」で約160人の観客を笑顔にさせた。認知機能の低下を予防するためのプログラム「シナプソロジー」のインストラクター資格を持つ志ららさん。本人も想定外のシナプソロジー落語への反響や新たな展開、さらには「ふざけのススメ」を語った。2回に分けてお送りする。(聞き手・構成 富永博嗣)

目次

わざと混乱させてます

「できない方がいい」慣れない動きで脳が活性化

「二つのことを同時に行う」「左右で違う動きをする」といった慣れない動きをすることで、脳を活性化させようというのがシナプソロジーのプログラム。その魅力を「できなくてもいい。むしろ、できない方がいい」と語る。失敗こそが成功。今回も演台から「できないことでモヤモヤするでしょ。モヤモヤすることで、脳のいつもとは違う部分が活性化されるんです」と呼びかけた。

志らら このプログラムの良いところは、一つは物を使わなくてもできること。もう一つが「できないことが良いこと」というところで、そこがみなさんも参加しやすいところなのかなと思います。僕はよく舞台から「失敗するとか、できないとかいうのがダメなんじゃないんですよ」と言っています。できないってことは脳が混乱しているってことで、僕は脳が混乱するようにわざとできないようなプログラムを提案しているんです。できないのが悪いことではなくて、できてないと認めるのが大事です。

ふざけることは大事かも

「ふざけることって大事だろうと思います」

観客にもさまざまな反応があり、積極的に参加しようとしない人もいるという。だが、笑うことや心を弾ませることの健康的な効果は各所で説かれている。その笑いや楽しみを、志ららさんは「ふざけること」と表現する。

志らら できないと悔しいというのが年配の方、とくに男性に多いじゃないですか。「何で俺ができないことをやらなきゃいけないんだ」とか「俺は恥をかきたくない」とか。かたくなに参加しない人もいます。でも、そういう人も笑ってはいらっしゃるので、家に帰ったらやるのかな…なんて思っています。
笑って楽しく遊べるというか、ふざけることって大事なんだろうと思います。でも、周りを見ていると年を取るとふざけなくなっちゃうのかな。僕らの世界の先輩たちって、すごい年齢でもずっとふざけている感じで、そういうのも人生で大切なのかなと思います。

91歳・野末陳平氏はスゴい!

「 プログラムは何個でも作ります」

「ふざけること」の大切さを深く感じさせられる存在として、タレント、放送作家、元参議議員などマルチな活躍をする野末陳平氏を挙げる。野末氏は1932(昭和7)年生まれの91歳。立川一門を創設した立川談志(故人)の親友で、志ららさんも公私に関係が深い。

志らら 野末先生は91歳でもふざけていて「天気が良くて脚が丈夫だったら浅草のロック座にストリップ、久しぶりに行きたいな」とか言っています。以前、一緒に行きました。ストリップって1日5回公演なんですよ、同じプログラム、同じ踊り子さんで。それを2回は見たいって言うんです。「角度が違うだろ、角度が。座る位置を変えるんだよ。1回目はこっちから、2回目はこっちから。見る場所も上を見たり下を見たりで、1回じゃ足りないんだよ」と。もう、すごいなって…。そういう気持ちになれるっていうことがすごいですよ。

皆さんの為になるのなら…

いくつになっても明るく楽しく、志らら流にいえば「ふざけること」。それが健康に生きる元気の源になるのであれば…。シナプソロジー落語への反響に、そんな使命感も生まれてきているようだ。

志らら ふざけることの一環として、落語で笑うのもそうですけど、シナプソロジーをやって「わー、できなかったぁ~」ってなるのが、どこかで皆さんの為になるんだったら、そして求められるのなら、ずっとやっていきたいなって思います。プログラムは何個でも作りますんで。

プロフィル
立川志らら 1973年6月生まれの50歳。神奈川県出身。97年5月、立川志らくに弟子入り。2002年5月、立川談志の孫弟子として初の二つ目に昇進。15年10月、真打ち昇進。脳の活性化を図るシナプソロジーのインストラクター資格(シナプソロジー研究所)を持つ。大正大学地域構想研究所の研究員で、同大学と東京・巣鴨でカフェ「ガモール志學亭」を共同運営。毎月3日間、店内の高座に上がっている。

シナプソロジー
スポーツクラブの全国展開など健康づくり事業に取り組む(株)ルネサンスが昭和大学医学部の藤本司名誉教授(脳神経外科)のアドバイスを受けながらプログラムを独自開発。普段慣れない動きをすることで脳に適度な刺激を与え、認知機能や運動機能の向上を図る。複数人で行うことで、感情や情動の活性化も期待される。 

(了)

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