【脳活健康大学】体重は身近な健康の指標 毎日の計測で管理を

心不全に脳卒中、がんや慢性腎臓病、認知症などなど、肥満がさまざまな病気のリスクを高めることは周知の事実。では、どの程度の太り方が肥満に当たり、どうすれば避けられるのでしょうか。久留米大医学部内科学講座・内分泌代謝内科部門の蓮澤奈央准教授の講座「体に関連する数値に詳しくなって、もっと健康に!」の中から肥満に関する数値に絞り、その基準や回避への手がかりをお伝えします。
※西日本新聞TNC文化サークル久留米教室の講座「脳活健康大学」を採録し、抜粋・構成

話を伺ったのは?

久留米大医学部内科学講座・内分泌代謝内科部門
蓮澤奈央准教授

久留米大医学部内科学講座・内分泌代謝内科部門の蓮澤奈央准教授

埼玉県出身。医学博士。2006年東京医科歯科大(現・東京科学大)卒。都立豊島病院、九州医療センターで研修後、九州大博士課程を修了。18年に久留米大医学部内科学講座・内分泌代謝内科部門の助教、23年同講師を経て、今年から現職。日本内科学会認定内科医、日本内分泌学会・内分泌代謝科専門医、日本糖尿病学会糖尿病専門医、内分泌代謝・糖尿病内科領域専門研修指導医。

目次

内臓肥満はリスク大 まずBMIの計算を

肥満は大きく二つのタイプに分けられます。太ももやお尻に皮下脂肪がつく「洋梨型」と、おなかがぽっこり出る「リンゴ型」です。リンゴ型は内臓脂肪の蓄積が多く、洋梨型より生活習慣病につながりやすいタイプの肥満です。皮下脂肪には体を守る働きもありますが、内臓脂肪が過剰に蓄積すると、炎症を促す物質が増え、動脈硬化につながります。

肥満に関連する健康リスクについて話す蓮澤氏

肥満に関連する健康リスクを知る方法の一つが腹囲の測定です。おへその高さで測った腹囲が男性は85cm以上、女性は90cm以上の場合、内臓脂肪の蓄積が疑われます。メタボリック症候群の診断では血圧、血糖、脂質の状態も確認します。

内臓肥満は生活習慣病が連鎖的に進む「メタボリックドミノ」につながる可能性があります。内臓脂肪が増えると血糖を下げるインスリンの効きが悪くなり、高血圧や脂肪肝、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高まります。肥満は一部のがんや認知症とも関連が指摘されています。

もう一つの健康指標は身長と体重から求める体格指数(BMI=ボディーマス指数)です。健康的な体重も身長とBMIで計算できます(=下の計算式を参照)。国立がん研究センターの調査では、肥満でも痩せ形でも死亡率が上がる傾向が示されています。

医学的に治療対象となる「肥満症」は、BMI 25以上で、肥満に関連する健康障害がある場合、または内臓脂肪型肥満が確認される場合をいいます。腹囲が男性85cm以上・女性90cm以上の場合は、必要に応じてCT検査で内臓脂肪面積を確認します。肥満症は心筋梗塞や脳卒中だけでなく、ぜんそく、脂肪肝による肝臓病、月経不順や不妊症と関連することも分かってきました。

このように、内臓脂肪や肥満が体に及ぼす影響を知ると、体重を健康の一つの指標とする重要性が理解できるのではないでしょうか。

適正カロリー量は? 栄養バランスも大切

では、健康的な体重へ導く食事のこつを見ていきましょう。

まず1日の適正なエネルギー摂取量を計算します。65歳以上では特に、痩せ過ぎによる低栄養や筋力低下にも注意が必要です。目標となるBMI 22〜25の範囲で目標体重を決め、活動量に応じた係数をかけて算出します(=下の計算式を参照)。

次に食事のバランスです。炭水化物は1日のエネルギー量の50〜60%程度が基準となります。例えば適正エネルギー量が1,800kcalなら、900〜1,080kcalが炭水化物由来のカロリーの目安で、1g当たり4kcalなので重量は225〜270gとなります。

炭水化物の適正量を意識するのと同時に、食物繊維不足にも気を付けてください。加工食品や精製された食品に偏ると不足しやすいので、野菜類、キノコ類、海藻類を積極的に取り入れましょう。

たんぱく質由来のカロリーは全体の13〜20%程度が目安で、こちらも1g当たり4kcalです。腎臓病などで医師の指導がある人は取り過ぎに注意が必要ですが、そうでない人はしっかり取って健康に大切な筋肉量の維持につなげたいですね。特に高齢者は、たんぱく質の不足に気を付けましょう。

「たんぱく質の不足に気を付けましょう」と蓮澤氏

脂質はカロリーの25%程度を一つの目安とします。1g当たり9kcalです。種類も大事で、動物性脂肪に多い飽和脂肪酸の取り過ぎに注意し、植物油や魚に含まれる不飽和脂肪酸を上手に取り入れましょう。魚に多く含まれるオメガ3系脂肪酸(EPA、DHA)は、脳や血管などの健康維持に役立つ脂質として知られています。

ビタミンもとても大事です。野菜を多く取る人とあまり取らない人では摂取量に大きな差が出ます。野菜だけでなくさまざまな食材に含まれ、例えば豚肉はビタミンB1が豊富です。

メディアで紹介された“良い食品”ばかりを食べようとする人がいますが、大事なのはバランスです。米国では「健康的な食事プレート」という考え方が提唱されています。一皿に食事を盛り付けた時に半分を野菜と果物、4分の1を全粒穀物などの主食、残る4分の1を魚・肉・豆類などタンパク質のおかずにすると、良いバランスになるという考え方です。実践しやすいので参考にするのもいいでしょう。

しっかりと1日3食 運動も欠かさずに

ほかにも大切なことがあります。まず1日3食を基本に、特に朝食を抜かないことが大切です。朝食を抜くと、昼食後の血糖値が上がりやすくなるという研究結果があります。また、1人で食べると早食いになりがちなので、会話しながらの食事もお勧めします。

熱心にメモを取る参加者も

食べる順番を野菜やたんぱく質を先にすると、血糖値が安定するというデータもあります。食物繊維の働きによって糖質の吸収が緩やかになるので、毎食取ることも大事です。超加工食品や人工甘味料は取り過ぎず、肉、魚、野菜など素材が分かる食品を意識するといいでしょう。

体重管理や生活習慣病の予防に運動は欠かせません。正しい食生活を守った上で、積極的に取り入れましょう。スマホアプリや動画サイトなどに楽しいプログラムがたくさんあるので、自分に合う方法を見つけて続けてみてください。

体重は最も身近な健康の指標です。毎日の計測を習慣にし、しっかり食べ、体を動かしながら、健康づくりを続けていきましょう。

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