【大牟田市】「認知症にとことん優しいまち」

2025年には全国における認知症の人数は約700万人、実に65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症を患うと推計されています。そんな中、 「認知症になっても安心して暮らせるまち」 をかかげる、大牟田市の取り組みを紹介します。

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共生社会へ官民がスクラム 大牟田市の試み

 「認知症にとことん優しいまち」が九州にある。福岡県大牟田市。国内最大の炭鉱があった大牟田は活気あふれる都市だった。昭和30年代、人口は20万人を超えたが、閉山後の現在は半分に減った。高齢化率は38・1%、福岡県の平均を10ポイントも上回る。

 高齢化が進めば、認知症の人も多くなる。市は「認知症になっても安心して暮らせるまち」をつくるため、行政、介護事業者、市民が認知症への理解を深め声掛けをする取り組みを20年以上も続けている。柱となるのが「大牟田市ほっと安心ネットワーク」だ。

 市は毎年「世界アルツハイマーデー」(9月21日)の前後に、認知症の人が行方不明になったという想定で訓練を実施。「安心ネットワーク」は市民が不明者の情報を共有して発見、保護する仕組みのことだ。
警察署が行方不明届を受理すると、市福祉課や消防署、郵便局などに情報が伝わり、年齢や服装、身体の特徴などがメール配信システム「愛情ねっと」で約1万人に届き、早期発見につながっているという。

 訓練開始は2004年。行方不明の高齢者が交通事故で亡くなったことにショックを受けた駛馬南校区(当時)の住民が始めた。やがて全校区に拡大し、近隣の自治体にも広がっている。
 今年の訓練は企画段階から認知症の人も加わり11月10日に行う予定。今年1月に施行した認知症基本法の精神を踏まえ、すべての人が個人として尊重され、支え合う共生社会の実現を目指す。

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