【編集長体験記】福岡マラソン2023ファンラン完走を目指して

 「ほとんどの野生動物は捕食する時、もしくは捕食のターゲットとなった時、つまり命が懸かった時にしか走らない。人間も動物だから、命も懸かっていない時に走る必要はない」
 長年にわたって、そんな〝持論〟を主張してきました。どこかで拾った聞きかじりか読みかじりの受け売りではありますが、聞きかじりならもう一つ。「虎は一生に3度しか走らない」。わたくし昭和37年の寅(とら)年生まれ。これも耳にした瞬間に走らぬ根拠として採用しました。
 ところが…。スタートを10日後に控えた「脳活新聞走るっ隊」の最終講習会。1回目の講習会から指導にあたってくださった福岡大学病院リハビリテーション部の健康運動指導士・松田拓朗さんが、講義で「人は走るために生まれた」という海外の論文を紹介されました。「人類は持久走に適応するように進化していったという論文です。大昔、人はおなかがすいたら動物を探し、走って狩りをする時代を過ごしてきました。要するに生きるために走っていたのです。人は走れる骨格をしていて、走るのはあくまでも自然な行為です」。ありゃりゃ、人も捕食のために走る動物だったのか。
 それだけではありません。歩く、走るといった有酸素運動は脂肪を減らすが筋肉も減らすというのは誤った認識。「週に計180分、1分間走って1分間歩く間欠運動を続けると、12週間後に大腿(だいたい)部の筋肉量が増えます」。福岡大の研究で、この運動を継続することで認知機能の向上も実証されたというのです。さらには、有酸素運動によって脳の海馬の容積が増大するとも。走らぬための〝へ理屈〟は、無残なまでに吹き飛ばされてしまいました。
 というわけで、5・2㌔のファンラン参戦。私より年配の方々がニコニコしながら悠々と走っておられる中、ヒーヒーいいながらゴールにたどり着きました。正直に打ち明けます。ずるをするのではないかと疑う弊社・筒井卓也部長の同行監視の下、天神をスタートして約2㌔の簀子でガス欠。3㌔すぎの福浜あたりまでは走って歩いてを繰り返しましたが、最後は…。

編集長を監視するT部長

なんとも情けないことに「完走」ならぬ「半完走・半完歩」です。いや、半分以上は歩いたか。たかが5㌔、されど5㌔。不摂生の権化にとっては「されど」では言葉が足りないほど遠かったのです。

無事に完走した富永編集長


 もう10年以上前の話になりますが、私の行きつけの理髪店に川内優輝選手が突然やって来たそうです。福岡国際マラソンの前日、気合注入の角刈りです。散髪後、色紙にサインを求めると、まるでテストの答案のようなきっちりとした楷書でこう記したといいます。
「現状打破 川内優輝」
 そうだ! 現状打破だ! 生来の怠け者が「現状維持」なんて心構えでは、身も心もしぼんでいくのは目に見えています。そもそも「半完走・半完歩」が現状だし。だから現状打破。1年後には鼻歌まじりで走れるようになってやる…と誓いばかりは激熱です、いつだって。

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脳活、運動、食事、睡眠、社会参加、脳トレなどの普及・啓発活動による健康寿命の延伸・認知症予防の実現を目指す「脳活新聞」

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