【インタビュー】志らら発案「シナプソロジー落語」でモヤモヤしつつ脳刺激

2つのことを同時に行うなど〝間違えていい〞動作を取り入れた参加型のシナプソロジー落語を披露し、「脳活新聞フェア」(9月22日、福岡市中央区・エルガーラホール)の会場を大いに沸かせた落語家、立川志ららさん。「脳を混乱させて刺激する」というシナプソロジーの考え方や普段の活動、落語の魅力について話を聞きました。

目次

立川志らくに弟子入り 真打ちで活動さまざま

「落語は脳をフル回転すればするほど楽しいエンターテインメント」と立川志ららさん

話してくれたのは?

立川志らら(たてかわ しらら)さん
落語家。1973 年生まれ、神奈川県出身。97年5月立川志らくに入門。2002 年5月立川談志の孫弟子として初の二つ目に昇進。15 年10 月真打ちに。脳の活性化を図るシナプソロジーのインストラクター(シナプソロジー研究所)資格を持
つ。ラジオ「看板娘ホッピー・ミーナの HOPPY HAPPY BAR」(ニッポン放送)出演中。

―普段の活動について聞かせてください。

立川談志門下の落語家ですが、ちょっと特殊な落語家生活を送っています(笑)。立川志らくの弟子になりましたが、志らくの推薦もあって入門直後から放送作家の高田文夫先生のかばん持ちや運転手もすることに。落語家として真打ちに昇進した今も、高田先生の事務所の事務員というか、原稿のやりとりなどマネジャー的な仕事もしています。おかげでいろんな業界の人と出会えて勉強になっています。

―福岡には落語以外でも来られていたとか。

「全国縦断チャリティつり祭り」という日本バスクラブが開催している釣りイベントがあり、その司会では毎年来ていました(笑)。福岡県は遠賀川が会場で今年は4月でした。

明るい笑顔で志ららさん発案のシナプソロジー落語をスタート!

―大正大学(東京都豊島区)地域創生学部・地域構想研究所の客員研究員でもありますね。

大学は巣鴨にあって地域との結び付きが強く、巣鴨の地蔵通り商店街を盛り上げる一つの取り組みとして、商店街内の「ガモール志學亭」という喫茶店で定期的に落語会を開くことに。昨年6月から毎月平日の3日間、月ごとに演目を替えて披露しています。もう40席近くのネタをやりました。

脳を適度に混乱させて 脳の機能を高める創作落語

会場を巻き込んで参加型の落語を披露しました

―さらに脳活新聞として注目した、シナプソロジーのインストラクター資格をお持ちです。

シナプソロジーとは、全国展開する「スポーツクラブ ルネサンス」が昭和大学(東京都品川区)脳神経外科の教授などのアドバイスを受けて2011年に独自に開発した認知機能低下を予防するためのプログラムです。「2つのことを同時に行う」「左右で違う動きをする」など慣れない動きで脳を適度に混乱させ、刺激を与えることで脳の機能を高めるという考えに基づいています。

落語は、高齢者施設などに呼ばれる機会も多いので、知識があると役立ちそうだなと思いました。ちゃんと講義を何時間も受けて資格試験にもパスしたんですよ(笑)。その後、このプログラムを取り入れた「シナプソロジー落語」を創作しました。

「僕に〝負けるよう〞にじゃんけんしてみましょう」。これが案外難しくて楽しい!

―脳活新聞フェアでも大変盛り上がりました。

参加型落語です。今回は古典落語「あくび指南」の指南する場面で、皆さんと一緒に動作をしました。シナプソロジーは脳を混乱させて血流を良くしようというのが目的なので「できない」を楽しむのが特徴。誰もが「できるようにする」に慣れているので、「できないようにする」って案外難しい。じゃんけんでも「僕に負けてください」と呼びかけ、これを「相違じゃんけん」と言います。皆さん、勝とうとする思考回路に慣れているから、途端に困惑顔になる(笑)。

―間違えていいのですね。

大いに間違えてください。間違えて脳がモヤモヤするのがいいんです。間違えたのに、それを認めない頑固さは一番いけません(笑)。慣れてきたら効果が下がりますから、違う動きにトライしていくんですよ。

「みなさんくたびれていませんか。落語を聴いてリラックスしては」と志ららさん

―脳活の観点から落語の魅力を。

落語は、こちらが「こんにちは」と言うだけで、お客さんが「どういう人物かな」と想像してくださる。脳をフル回転して想像すればするほど楽しくなり、同じ落語を聴いても人によって味わい方が変わる、高度で懐の深いエンターテインメントです。

最近は、ご時世的にも真面目に自分を律し過ぎた生活が続いて、くたびれちゃった方も多いんじゃないかなと。そんな時は少しふざけたり、おバカさんになったりしてリラックスしてください。落語を聴けば、ふざけた気分になれるし、思わず笑えます。僕の落語で、ぜひとも大いに笑ってください。

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この記事を書いた人

脳活、運動、食事、睡眠、社会参加、脳トレなどの普及・啓発活動による健康寿命の延伸・認知症予防の実現を目指す「脳活新聞」

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