毎月17日は、日本高血圧学会が呼びかける「減塩の日」です。秋が深まり、鍋物や汁物がおいしい季節になりました。温かい料理が増えるこの時期は、知らないうちに食塩をとりすぎやすい時期でもあります。
国の調査では、60代は男女ともに、食塩をとる量がほかの年代より多いという結果が出ています。この記事では、60代以上の方の食塩摂取の現状と1日の目安、毎日の食事で無理なく続けられる減塩の工夫を紹介します。結論から言えば、味の工夫と「汁物」「表示」の見直しから始めるのが続けやすい方法です。
目次
60代以上は食塩をとりやすい世代
年代別では60代が最も多い
令和6年国民健康・栄養調査による年代別の1日あたり食塩摂取量のグラフ。60代が男性11.1g、女性9.3gで最も多い
厚生労働省の資料によると、令和6年国民健康・栄養調査で、20歳以上の1日あたりの食塩摂取量の平均は9.6gでした。男性は10.5g、女性は8.9gです。
年代別に見ると、60代は男性11.1g、女性9.3gで、男女とも全年代で最も多くなっています。70歳以上も男性10.6g、女性9.2gと、高い水準です。
長年の食習慣は、なかなか自分では気づきにくいものです。まずは「自分の世代は食塩が多めになりやすい」と知っておくことが、見直しの第一歩になります。
1日の目安は男性7.5g未満、女性6.5g未満
国の「日本人の食事摂取基準」は、成人の食塩の目標量を定めています。男性は1日7.5g未満、女性は6.5g未満です(2026年10月時点)。60代の平均と比べると、男性は約3.6g、女性は約2.8g多い計算です。
国の健康づくり計画「健康日本21(第三次)」も、目標を掲げています。食塩摂取量の平均を、2032年度(令和14年度)までに7gに減らすというものです。
一度に大きく減らす必要はありません。1食あたり1gずつ減らすだけでも、1日では3gの差になります。
食塩のとりすぎと血圧の関係
食塩をとりすぎると、体内の塩分の濃さを保とうとして、水分がため込まれます。その結果、血圧が上がりやすくなるとされています。
福岡県の減塩サイトによると、高血圧による血管の硬化などで、脳や心臓の血管の病気や腎臓病の危険性が高まるとされています。また、県の発表では、成人男性の約7割、成人女性の約6割が、高血圧かその予備軍とされています。
日本高血圧学会は、高血圧の治療では1日6g未満の減塩を推奨しています。血圧が正常な方にも、高血圧の予防のために6g未満を勧めています。
血圧は自覚症状が少ないため、家庭や健康診断で測ることが大切です。血圧が高めと言われた方や気になる方は、かかりつけ医に相談してみてください。
毎日の食事でできる減塩の工夫
福岡県の減塩サイトや自治体の資料を参考に、取り入れやすい工夫をまとめました。
香辛料や香味野菜、酸味を生かす
塩味が薄くても、ほかの味や香りを足すと、物足りなさを感じにくくなります。
- コショウや七味唐辛子などの香辛料を使う
- ネギ、しょうが、みょうがなどの香味野菜を添える
- ゆずやかぼすなど、かんきつ類の酸味を利かせる
- 酢やだしのうまみを生かす
九州には、かぼすやゆずなど香りのよいかんきつ類が身近にあります。焼き魚やおひたしに、しょうゆの代わりに搾ってみるのも一つの方法です。
めん類の汁や汁物は控えめに
めん類の汁や、みそ汁などの汁物には、食塩が多く含まれます。福岡県の減塩サイトでは、めん類の汁を控えると2〜3gの減塩になると紹介しています。
- めん類の汁は飲み干さずに残す
- みそ汁は具だくさんにして、汁の量を減らす
- 汁物を食べる回数を見直す
具を多くすると、野菜もとれて満足感も得られます。
調味料は量をはかって使う
しょうゆやソースを料理に直接かけると、つい多くなりがちです。小皿に取って「つけて」食べると、使う量を抑えやすくなります。
千葉県船橋市の資料では、減塩のポイントとして「はかる」「控える」「腹八分目」を挙げています。目分量ではなく計量スプーンで調味料をはかると、どのくらい使っているかが分かるようになります。
食品表示の「食塩相当量」を確かめる
加工食品の多くには、栄養成分表示が付いています。そこに書かれた「食塩相当量」を見ると、その食品にどのくらい食塩が含まれているかが分かります。
漬物や干物、練り製品、インスタント食品、総菜などは食塩が多めのものもあります。買い物の際に表示を見比べる習慣をつけると、自然と選び方が変わってきます。
無理なく続けるための注意点
減塩は、続けてこそ意味があります。極端な制限で食事が楽しめなくなっては、長続きしません。
シニア世代は、食欲が落ちたり、食べる量が少なくなったりすることもあります。薄味にしたことで食事の量が減ってしまうと、栄養が足りなくなるおそれもあります。主食・主菜・副菜をそろえ、食べる量はしっかり保つことを心がけましょう。
また、日本高血圧学会は、低血圧で立ちくらみがある場合など、病気によっては食塩を多めにとるほうがよいこともあるとしています。持病のある方や、医師から食事の指導を受けている方は、その指示を優先してください。
まとめ
- 60代は男女とも、食塩をとる量が全年代で最も多い
- 1日の目標量は男性7.5g未満、女性6.5g未満。まずは1食1gを減らすことから
- 香りや酸味の工夫、汁物の見直し、食品表示の確認が続けやすい
次の17日の「減塩の日」をきっかけに、ご家族と一緒に食卓の味付けを見直してみませんか。血圧が気になる方は、かかりつけ医に相談してみてください。
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