4月にOHASHI HILL(福岡市南区)の屋上広場でスタートした脳活菜園では7月末までにトマト、ピーマン、ナス、オクラを収穫し、日々の水やりなどで支えてくれた、おおはし保育園の園児たちの食卓を飾りました。もっとも7月以降は酷暑にたたられ、野菜たちがパワーダウン。
さて、今回の第1期は成功したと言えるのでしょうか。第2期(秋冬)をにらみつつ、菜園のリーダーを務める野菜作りのド素人・ベビーリーフはるかが中原採種場(同博多区)を訪ね、同社の田中清喜社長と本田敦史さんにプロの目で評価してもらいました。
「真っ赤なトマトがとれたよ!」とおおはし保育園の園児たち
目次
6月下旬に真っ赤なトマトを無事収穫、でもその後は?
ベビーリーフはるか(以下、ベビはる) 4月に植えた野菜たちを無事に収穫できました。ただ、7月から早々と猛暑に見舞われて…。実際に脳活菜園の様子をご覧になって、どう感じられましたか。
本田敦史さん(以下、本田) 7月下旬に菜園だけでなく庭園の花々も見ましたが、みんな暑さに苦しんでいるのを感じました。もっと水をあげても良かったかな、と。
田中清喜社長(以下、田中) 茎の中で葉や枝ができる部分を節、その間を節間と言います。節間の長さは環境などで変わるので、長さが一定だとスムーズに成長したと判断できます。その点からも、やはりストレスがかかっていたことが見て取れましたね。
ベビはる 6月下旬に1回目の収穫をしたトマトは真っ赤に色づきましたが、その後は色も悪いし、まだ緑色の段階から割れたり劣化したり。実の数も減りました。
真っ赤に実ったトマトを収穫する園児たち
食べ頃に熟した途端、カラスに食べられたトマト
「カラスに負けず大きくな~れ」と願いながらネット張り
本田 やはり水の不足が要因でしょう。ナスも同じですが、下段の葉っぱは大きくて、上になると小さいですよね。これは最初の成長段階では頑張れていたけれど、その後は養分を吸えていないからです。そのため花は咲いても実にならなかったりします。
田中 完全にストレスがかかっている状態ですね。水がないと養分が吸えません。養分が吸えていないと根と葉のバランスも崩れてしまいます。
ベビはる 庭園に来た人がトマトを見ながら「こんなに大きくなるなら育ててみたい」と話しているのを耳にして、鼻高々だったのですが。日中に水をやると根が煮えてしまうと聞いています。朝方にたっぷりとあげた方がいいですか。
本田 今年のような暑さだと朝10時からでは遅いし、朝早くても10時ごろには熱湯状態になるでしょうし。夜は植物を休ませないといけないので夕方や夜の水やりはご法度なのですが、夕方の水やりを考えてもいいかもしれません。
ナスは水不足でも頑張って大きくなった!
自慢していた「太っちょオクラ」は硬かった!
田中 ところで、オクラは硬くなかったですか。
ベビはる 硬かったです。収穫が早かったですか。
田中 遅いのですよ。かなり太めですよね。縦に伸びきれず、横に成長した状態です。収穫の目安は長さ5cmぐらい。ただ、今年はプロの生産者でも苦労したようです。
大きいけれど硬かったオクラ
ベビはる のんきに「太っちょオクラ」とか言って自慢していました…。オクラが縦に伸びずに硬くなったのも、トマトが割れたのも水分の不足ですね。対策はありませんか。
縦に伸びきれず硬くなったオクラと割れたトマト
本田 ビニールなどで地面を覆うマルチングで保湿するのが一つの手です。
ベビはる マルチングという方法があるのは知っていますが、プロや上級者向けだと思っていました。
田中 いえいえ、むしろ手がかからない方法です。雑草防止にもなるし、保湿効果で水も頻繁にやらなくて済みます。冬場には加温効果もあります。
本田 シートには黒、白、シルバー、透明などがあって、色ごとに使う目的が多少違います。例えば地温を上げたい、または上げたくないとか、時期や作物によって使い分けます。最近は、最後に土に返る和紙のシートも出ています。
田中 土壌改良剤もあります。EFポリマーという製品はバナナの皮が原料の吸水性ポリマーで、土に混ぜ込むと水を蓄えるスポンジのような役割をします。自宅の花壇で試してみたら去年と結果が全く違いました。ほかにも同様の製品があります。天然由来で環境にも配慮しています。
ベビはる 来年の春夏はもちろん、これからの秋植えでも試してみます。さて全般的に見て、今回は100点満点だと何点ぐらいでしょうか。
中原採種場の田中社長(右)と本田さん
本田 この暑さでも枯らさなかったので100点です。
ベビはる 100点!? 秋冬も頑張ります。もうワクワクしてしまいます。
(敬称略)
「もうすぐ『脳活菜園キット』発売予定。お楽しみに!」とベビーリーフはるか
ちょっとだけ地域への貢献も
西鉄大橋駅の東口ロータリーに隣接する「OHASHI HILL」は、えんホールディングスが4月に開業した複合商業施設。誰でも利用できる屋上広場「スターパーク」では、大人から子どもまでさまざまな人々がくつろいでいます。
その一角にあるのが脳活菜園。館長の西川辰之介さんは「散歩に来られた人がトマトがある、オクラがなっていると、よく話されていますよ」と目を細めます。同施設の倉本佳史さんも「よく来られる80歳代の女性が『水は足りているかな』とか、いつも熱心に見ておられましたよ」。また、中原採種場の本田さんはチェックに訪れた際に、中学生から「トマトがなっているのを初めて見ました」と声をかけられたとか。
地域のコミュニティーの場となることを目指している同施設。脳活菜園も少しはお役に立てた…かな?
「OHASHI HILL」の西川さん(左)と倉本さん
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