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毎年の春・秋に期間限定で公開されている国指定の名勝「九年庵」（佐賀県神埼市）。真っ赤なモミジに彩られる秋景色が訪れる人々を感動させているが、新緑に包まれる春景色の美しさも見逃せない。今春は5月4～6日の一般公開に加え、3日に特別イベントが開催される。五感を刺激される旅は認知機能低下の予防に効果的。新たな体験や風景が脳を活性化させ、認知症リスクとなるストレスも取り除いてくれる。もちろん、ウオーキングの運動効果も十分。ゴールデンウイーク中の楽しい脳活へ、九年庵への旅をお勧めする。
紅葉の名所として名高い九年庵は、春もまた人々を魅了する。「庭のモミジや苔（こけ）に背景の山々。新緑に包まれた青々とした美しさを、ぜひご覧になってほしいです」と佐賀県文化・観光局の安部萌花さんはうなずく。一般公開は秋に9日間、春には3日間だけ。春の鑑賞はまさに〝レア体験〟だ。
九年庵の完成は明治41（1908）年。佐賀の実業家、伊丹文右衛門と息子の彌太郎が築造した。明治初期に廃寺となった仁比山護国寺（現在の仁比山神社）の跡地の一角に別邸を築いたのが文右衛門。それを引き継いだ彌太郎が９年もの月日をかけて庭園を築き、大正9（1920）年に「九年庵」という茶室を建てた。現在の広く親しまれている九年庵の名は、この茶室から名付けられた。
親子が手がけた金融、鉄道、電力など数々の事業は、現在の佐賀銀行、西日本鉄道、九州電力などの基盤となっている。大正6（1917）年には、帰郷した大隈重信夫妻の歓迎会もこの別邸で開かれた。
その後、昭和35（1960）年に庭園を購入したのが、つちやたび合同会社（後の月星ゴム、現在のムーンスター）の社長を務めた倉田泰蔵。日本庭園史学の第一人者で作庭家の森蘊（おさむ）に依頼し、庭園や建物を改修した。平成7（1995）年には国の名勝に指定されている。
美しさにとどまらない、こうした文化財の特別空間を味わってもらおうと、3日間の一般公開にプラス1日、5月3日に少人数制のプレミアムイベントが開催される（詳細は佐賀県のホームページ）。佐賀県政策部の納富大介さんは「この建物や庭園の歴史的、文化的な魅力を感じられる特別な体験を提供したいと考えています」と明かす。
周辺にも一度は訪ねたい名所が待つ。1200年を超える歴史を刻む仁比山神社は楠などの大木、古木に覆われ、参道入口に建つ仁王門の金剛力士像は神埼市指定の重要文化財だ。また、車で約15分の吉野ケ里歴史公園でも5月3～6日に特別イベントが開催される。同公園は弥生時代の人々の暮らしを伝える施設だけでなく、子どもも楽しめる遊具ゾーンやレストランなどを備えている。
散策やウオーキングは、運動効果はもちろん、脳の活性化にも有効。新緑の美しさに浸れば身も心も癒やされ、なおかつ歴史や文化に思いをはせれば効果も増す。九年庵は、そんな〝脳活スポット〟としての魅力にも満ちている。
新緑色づく5月3日（金・祝）から6日（月・振休）の4日間限定で、春の「九年庵」が公開される。今年は、例年実施されている一般公開に加えて、少人数制のプレミアム体験イベントが企画されている。
詳細は佐賀県のホームページ（https://www.pref.saga.lg.jp/kiji003101502/index.html）で確認を。
■公開時間：8:30～17:00
■場所：佐賀県神埼市神埼町的字仁比山
■アクセス：
・長崎自動車道背振ICから車で15分
・JR長崎本線神埼駅からタクシー・路線バス利用で約15分
■美化協力金：高校生以上500円
■駐車場：近くの仁比山公園に駐車（普通車500円、マイクロバス2,000円、大型バス3,000円）
■お問い合せ：佐賀県政策部 TEL0952-25-7230
ゴールデンウィーク中、吉野ヶ里遺跡でもレア体験が楽しめる。
吉野ヶ里遺跡の「謎のエリア」で発見された石棺墓は保存のために埋め戻しされるが、その前に最後の特別公開が行われる。見学できる最後のチャンスとなるので、この機会に足を運んでみては。
■公開時間：9:30～16:30
■場所：佐賀県神埼郡吉野ヶ里町田手1843
■アクセス：
・長崎自動車道背振ICから車で15分
・JR長崎本線吉野ケ里歴史公園駅からタクシーで約5分、神崎駅からタクシーで約7分
■入場料金：大人（15歳以上）460円、中学生以下無料
■駐車場料金：普通車310円
■お問い合せ：佐賀県文化財保護・活用室 TEL0952-25-7233
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