脳の元気に欠かせない「口腔ケア」 歯科医インタビュー

歯や歯茎の健康も健康寿命延伸に深く関わっているという。医療法人木村歯科(福岡市・天神)の理事長、木村英隆氏は「歯周病は認知症にも関係しています。口腔ケアを心がけて、〝噛(か)める〞健康生活を目指しましょう」と話す。

目次

噛めることは生きること

【教えてくれた人】歯科医師 木村 英隆氏
福岡県出身。九州大学歯学部卒業。医療法人木村歯科理事長。九州大学歯学部臨床教授、日本歯周病学会理事、日本臨床歯周病学会副理事長。

―噛むことの大切さを教えてください。

噛むという行為は、心身の健康づくりに関連深いことが分かっています。食材をしっかり噛んで嚥下(えんげ/飲み込むこと)できるのは、健康のバロメーターの一つであり、若々しくいられる秘訣。虫歯を治療したらダイエットに成功した例もあり、生活習慣病の予防にも関わります。しっかり噛むと栄養の吸収もよく、脳にも刺激を与えます。

―噛めなくなると、どうなりますか。

筋力の低下やオーラルフレイルに直結します。オーラルフレイルとは、口腔内の衰え(フレイル)のことで、食べこぼし、口の乾燥、滑舌低下なども含まれます。つまり「噛める=生きる」ことと言い換えてもいいほど。虫歯や歯周病が進行して噛めなくなることがないように日頃からケアが必要です。

―歯周病とは。

歯に付着した虫歯菌や歯周病菌が繁殖した「プラーク」がたまり、歯肉に炎症が起こる病気です。これが進行して歯と歯茎の隙間が深くなると「歯周ポケット」と呼ばれる袋ができます。ポケットにさらにプラークがたまると歯を支えている歯槽骨が溶ける事態に。そうなると歯が動き、噛み合わせが悪くなったり、時には抜け落ちたりするケースもあります。

―発見のサインは?

分かりやすいのは歯茎の腫れや出血。歯周ポケットができると口臭もあるので「口がくさいよ」と言われたら注意を。

―歯周病と認知症の関係について。

歯周病の毒素(歯周病菌)がアルツハイマー型認知症の原因にもなり得ると、九州大学大学院の歯学研究院が発表して話題になりました。歯周病はこれまでも多くの病気に悪影響を及ぼすと指摘されていましたが、認知症にも関係があると分かりました。

歯周病は認知症にもかかわるので注意が必要

口腔ケアは健康寿命延伸に

―予防のポイントを。

健康診断や人間ドックを受けるように、歯も定期検診の習慣を持ち、虫歯チェックと合わせて歯石を除去して歯周病のケアをしましょう。目安は3カ月おき、年4回の口腔ケアをすれば歯の健康も長く保てます。歯磨きなどで上手にケアができればもっと長いスパンでも大丈夫。口腔ケアを心掛けている人は健康寿命を長く保てる人といえますね。

―コロナ禍で気を付けたい点は。

コロナ禍で病院から足が遠ざかり、その間に虫歯や歯周病が進行した方がたくさんいます。どの医院も感染対策をしっかりしているので怖がらずに受診して、まずはしっかり治療を。そして正しい歯磨きの習慣を続けてくださいね。

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

脳活、運動、食事、睡眠、社会参加、脳トレなどの普及・啓発活動による健康寿命の延伸・認知症予防の実現を目指す「脳活新聞」

コメント

コメント一覧 (1件)

目次
閉じる