とうふなどの大豆製品をはじめとして、お惣菜やおやつなど150アイテムに上る食品を、移動販売で届けている豆吉郎。昔ながらのラッパの音を鳴らしながら、白い軽バンの「豆吉郎号」で地域を巡回している。
主力商品のとうふや厚揚げが人気なのはもちろんのこと、豆吉郎でしか買えないさまざまなオリジナル商品のファンは多く、毎月たくさんの新商品が登場してお客様を楽しませている。そんなオリジナル商品の開発を担当している、豆吉郎(福岡市博多区)事業本部商品企画課の小林忍課長に、おすすめ商品やその開発秘話について聞いた。
<企画・制作/西日本新聞社メディアビジネス局>
目次
移動販売でしか買えない、昔ながらの味わいが好評なとうふ
―豆吉郎の移動販売について教えてください。
豆吉郎は昔ながらのおとうふ屋さんのように、「ピー、プー」とラッパの音を鳴らしながら、白い軽バンの「豆吉郎号」で移動販売をしています。
ラッパの音が聞こえたら、販売士が見えるところで手を振っていただいたり、声をかけていただいたりして、車を止めてお買い物をしてください。購入は現金のみ対応しております(一部PayPayも可)。
事前に日時や場所をお客様とお約束し、販売に伺うこともできます。とうふ一丁からでも喜んでお届けいたしますので、フリーダイヤル(0120-106-561)や担当の販売士にご連絡ください。
―豆吉郎のとうふの人気の秘訣は。
国産大豆を100パーセント使用していて、しっかりとした大豆の風味が楽しめ、「昔ながらの本物のとうふの味わいがある」と好評です。
「生きぬ」「生もめん」などご用意していますが、これらはオリジナル商品で、スーパーなどでは販売しておらず豆吉郎の移動販売でしか買えません。一度食べてファンになり、移動販売を楽しみに待ってくださっているお客様が多いですね。
―「生きぬ」と「生もめん」とでは、どちらが人気ですか。
季節によって変わってきて、暑くなってくるこれからの季節、5月から10月は「生きぬ」が人気で、冷奴などで召し上がるお客様が多いです。11月から4月のお鍋の季節は、「生もめん」が人気ですね。ただ宮崎県では、一年中「生もめん」が人気なんですよ。
とうふの次に人気なのが、なめらかできめ細かい「生きぬ」を使った「絹厚揚げ」です。なめらかなで柔らかな食感がたまらなく美味しくてリピーターが多く、販売士たちも初めてのお客様に一番に勧める商品です。油抜きが不要で、生のままわさび醤油でお刺身のように食べられます。そのまま焼いて、ステーキのように食べるのも美味しいですよ。
とうふにかけてレンジで温めるだけで完成!「本格麻婆豆腐の素」
―とうふとともに購入されるおすすめ商品を教えてください。
トップ5位の商品は、1位から順に「本格麻婆豆腐の素」「豆吉郎のめんま」「寒干沢庵 たまり漬」「田舎もろみ」「紀州南高梅 はちみつ 塩分3%」ですね。
「本格麻婆豆腐の素」は、お客様にとうふと一緒に買ってもらえるような商品を、という発想で作りました。
弊社のお客様はご高齢の方も多いので、手軽に作れるよう、とうふを切って、お肉が入ったこの「本格麻婆豆腐の素」をかけ、そのままレンジでチンして食べられる商品にしました。市販の麻婆豆腐の素が、フライパンを出してひき肉を炒めて、とうふを切って……といった手間がかかるのと比べると、とても簡単です。
また本格的な麻婆豆腐の味を目指して、花椒(ホアジャオ)を少し強めに入れています。「他にはない、豆吉郎の麻婆豆腐の味」となるように意識して開発しました。
豆吉郎の「生きぬ」1パックに対しこの「本格麻婆豆腐の素」1袋を使って、作っていただくのがおすすめです。
SDGsの観点から誕生した「豆吉郎のめんま」
―「豆吉郎のめんま」のおすすめ理由は何でしょうか。
豆吉郎がめんまを作ったきっかけは、実は「放置竹林」という問題の解決を図るためでした。
今日本各地で放置された竹林が増え、山が水を蓄える力が低下し、各地で土砂崩れが発生する遠因にもなっています。そこで放置竹林に生える、たけのことしての商品価値がない「幼竹」を活用してめんまに加工し、放置竹林を資源化しようと試みているんです。
現在日本に流通しているめんまは99%が中国産で、発酵させてあるため、独特の香りがあります。一方、「豆吉郎のめんま」は純国産で発酵していないため、クセがなく、食感を楽しめるのが特長です。
企業の社会的責任(CSR)を果たすこと、里山保全の一助(SDGs)という側面から販売していますが、さまざまなテレビ番組などでも取り上げられ、反響が大きくなってきているところです。
「しょうゆ」味と「だし」味の2種類をご用意しています。
―他のおすすめ商品についてもご紹介をお願いします。
「寒干沢庵 たまり漬」は、パリッと歯ごたえの良い食感と醤油の深い旨味があり、ごはんがすすむんです。「たまり漬」と「梅酢味」の2種類ありますが、「たまり漬」が人気ですね。
「田舎もろみ」は少し粘り気があって、とうふに乗せて食べてもすごく合うし、ごはんにも合います。販売士がとうふとセットでおすすめしています。
「紀州南高梅 はちみつ 塩分3%」は、健康を考え、塩分を気にされるお客様からの声を受けて開発した商品です。塩分を3%に抑えるのは製造に手間がかかるんですが、本場紀州の和歌山県の工場で丁寧に作っていただいています。「しそ漬け」味と「はちみつ」味を出していますが、最近は甘みのある「はちみつ」の方が人気です。
移動販売ならでは、お客様の声が新商品開発のヒントに
―商品開発はどのように行っているのでしょうか。
基本的には、販売士からお客様の声をフィードバックしてもらって、アイデアを考えていきます。移動販売は対面なので、「これはない?」「こんなのがあったら買うのに!」といったお客様の声をヒントにしています。
試作品ができたら、社内で何度か試食会を行って、最終的な味やパッケージを決めていきます。
―新商品を考えられる際に、一番大変なのはどの辺りでしょうか。
いくら美味しくても、品質が良くても、お客様が購入しやすい価格帯にならないと売り出せないので、そういうときに悩みますね。どうやったらお手頃な価格帯で出せるか、パッケージや容量を工夫したり、製造ロットを増やしてコストを抑えられないか検討してみたりしています。
―豆吉郎の商品開発者として、今後の展望をお願いします。
豆吉郎の移動販売は、「道の駅や百貨店のデパ地下が、自宅の軒先に来てくれる」というイメージで、商品を開発しています。「近所のスーパーでは手に入らない、美味しくて、楽しく食べられる商品」を、これからもっと増やしていきたいと思っています。
また、移動販売では販売が難しい温度帯の商品などをお届けできるように、今後はインターネット通販も考えていきたいです。
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