【専門家インタビュー】体と脳を同時に動かす「コグニサイズ」で認知症予防の習慣を

健康で自分らしく長生きするために、日頃からできることには何があるだろうか。「コグニサイズは、認知機能低下の予防を目的に開発された運動プログラム。毎日の生活に楽しく取り入れてみませんか」とコグニサイズ指導者の杉谷太氏(福岡市)は呼びかける。

目次

計算やしりとりをしながら運動してみよう

「認知課題は少し間違うくらいの難しさがいいのです」と杉谷太さん

話してくれたのは?

杉谷太(すぎたに ふとし)氏
救急病院で医療ソーシャルワーカーを15年務め、2014年に高齢者の生活相談や介護保険ケアプラン作成、コグニサイズ指導、健康セミナーなどを実施する株式会社たぬき(福岡市南区)を設立。同社代表取締役社長。コグニサイズ指導者、社会福祉士、介護支援専門員

―「コグニサイズ」とは何ですか。

 国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)が開発した、運動と認知課題を組み合わせた認知機能低下予防のためのプログラム。全身を使って軽く息が弾む程度の有酸素運動をしながら計算やしりとりなどをして、「体」と「頭脳」を同時に動かすのが目的です。

―どんな点が脳によいのでしょうか。

 適度な運動は、高血圧症や糖尿病などの生活習慣病や認知症発症のリスクを低下させます。これは世界中の研究者が認めているところです。さらに運動自体が脳の神経成長因子を増やし、アルツハイマー病の重要な原因物質であるアミロイドβの蓄積のペースを落とすともいわれます。

 また、思わず間違えてしまうくらいの認知課題の適度なストレスは脳を活性化させるといわれます。簡単にできるような問題ではなく、ちょっと間違えるくらいがよいとされています。

コグニサイズって何? 国立長寿医療研究センターの資料から

間違っても笑って楽しく

―トライする際に気を付けたいポイントは。

 計算やしりとりを間違っても落ち込んだりせずに、ぜひ楽しんで笑ってください。間違っている時こそ脳を使ってるのですから。「あら、違ったね!」とほがらかに笑うと、表情筋や腹筋なども刺激され、免疫力も高まります。

 また、少しの時間でいいので、できるだけ毎日続けたいですね。椅子に座ってもできるので、無理なく継続させましょう。

高齢者施設パインガーデン室見(福岡市早良区)で 提供:たぬき

―続けるためのコツがあれば。

 家族や友人など、誰かと一緒に行うよう勧めています。1人だとなかなか続かないですし、他者とコミュニケーションをとりながら行うと脳活効果が高まるからです。

イラストや動画、施設で紹介

―コグニサイズはどこで知ることができる?

 インターネットの国立長寿医療研究センター公式サイト内にはイラストで数々のプログラムが紹介されています。自治体がYouTube(ユーチューブ)などの動画で紹介している例も多いですね。通信カラオケ機器のメニューに搭載されている場合もあり、機器は高齢者施設などに置かれていることが多いようです。私も数々の施設や企業に指導に伺っています。高齢者施設では、日々のメニューに取り入れているケースが増えています。

長崎県対馬市主催の教室の様子 提供:たぬき

―トライする読者へメッセージを。

 大きな声を出したり、拍手するなど手を使ったりすると一層効果的です。シニアやミドルエージはもちろん、若い世代にもお勧めしたい習慣。失敗しながら、笑いながら、コグニサイズで脳を元気に保ちましょう。

笑って楽しく無理せずに レッツトライ! コグニサイズ

コグニウオーク

歩きながらやその場で足踏みをしながら頭の体操を行う。

歩きながらしりとりにトライ! 大股で少し速めに歩くよう心がけて

基本編
同時に行う認知課題例
●しりとり
●100から1桁の数字を引いていく
(例)7を引く→100、93、86、79…
●目に入る物の名前を逆さに言う
(例)ひまわり→りわまひ、かいだん→んだいか
ここがポイント!
●歩きは、いつもより大股で 少し速めに
●足踏みは、できるだけしっ かり足を高く上げる
●外を歩くときは空気や花の においなど嗅覚を意識する

椅子に座っているときは なるべく高く上げよう

応用編
同時に行う認知課題例
●歩きながら、ある数字の倍数で手をたたく
(例)1から数えて3の倍数(3、6、9、12、15…)で実行
●慣れたら数字を2つに増やす
(例)1から数えて3の倍数と5の倍数で実行

決めた数字の倍数で手をたたいてみよう

ここがポイント!
●ひと工夫加えることで 脳にさらに刺激を
●雨の日などは室内で 行ってみよう

座っていても同様に。足をなるべく高く上げて

撮影協力:訪問看護ステーションふんわり 津原悦子さん

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脳活、運動、食事、睡眠、社会参加、脳トレなどの普及・啓発活動による健康寿命の延伸・認知症予防の実現を目指す「脳活新聞」

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